25年ルール、そもそもの目的は
まずは「25年ルール」についておさらいしよう。
アメリカの「25年ルール」アメリカ以外で生産された古いクルマ(classic or antique vehicles)の輸入に適用される優遇措置として知られる。【写真】あっぱれ! フリーダム! アメリカ人の手が加えられたカスタムカー【写真でみる】 (203枚)製造日から25年経過すればFMVSS(連邦自動車安全基準)に関係なく、合法的に米国に輸入することができる。実はこのルールは当初、全く逆の目的で制定されたことをご存知だろうか?1960年代以降、アメリカには海外で販売されるクルマを個人で自由に輸入できていた時代があった。それらは同じモデルでもアメリカ国内で販売されるものよりパワフルだったり、仕様が魅力的だったり、そして何よりも「安価」であった。しかし「グレー・マーケット」と呼ばれるそれらのクルマが急増し、正規米国法人の売り上げにも影響するようになってしまった。そこで米国メルセデス・ベンツなどの正規ディーラーが主導となってロビー活動をおこなう。並行輸入車に対する厳格な法律を1988年に成立させた。これによって「グレー・マーケット」のクルマは10年間で年間数万台から数百台レベルに激減。しかし、その後、新たな緩和策が講じられ、1998年に改訂されたのが現在の「25年ルール」である。当初25年ルールは「新車並行輸入車全面禁止の緩和策」として生まれたのである。それから10数年経ち、アメリカで日本車旧車ブームが起こる。スカイラインなどアメリカに入ってきていないモデルを中心に日本車の価値が爆上がりする。日本での中古車価格が暴騰している例は良く知られるところだろう。2022年に25年ルール解禁の日本車を見ていこう。
トヨタ・センチュリーV12(2代目) 1997年4月
カスタムベース車両としても人気上昇中のセンチュリー(写真は1990年型初代センチュリー カリフォルニアにて)
初代トヨタ・センチュリー誕生から30年経ってやっと2代目が誕生したのが1997年4月。センチュリーとしてはもちろん、日本の乗用車として初にして唯一V12エンジンを搭載したクルマである。 ボディサイズは5270×1890×1475mmの堂々サイズ。魅力はなんといってもこれぞ究極のJDMと言えるクラシックで重厚なデザイン、そして日本車唯一のV12 エンジンによる極上の滑らかな走りと静粛性だろう。本来、ショーファードリブンとして開発されているだけに後席の快適性も極上だ。シートヒーターはもちろん、ドア連動機能付きシートスライドやシートに組み込まれたマッサージ装置なども装備されている。ちなみにセンチュリーも大使館車両などを除いて、左ハンドル車が一般用に輸出された例はない。現在のところ、中古車価格は安価で推移しており、97~99年代製造であれば100万円以下で販売されている個体も少なくない。価格の魅力大なのだが、ネックはアフターパーツのラインナップが少ないこと。米国の初代センチュリーオーナーたちはみんな苦労しながらパーツを探しているようである。
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