I tried to unlock the entrance with fingerprint / iPhone / Apple Watch

自宅の玄関にカギを追加した。エピック社の「ES-F300D」という製品で、指紋・非接触IC(MIFAREとFeliCa)・パスコード・Bluetooth・Wi-Fi(別売りアダプターが必要)に対応という、だいたい全部入りスマートロックだ。

ES-F300D。築50年のマンションでもコレが付くとカッコイイ感じだ

導入目的は、「持ち歩くモノ(カギ)を減らすこと」「自動施錠とワンタッチ解錠でラクをすること」だ。

メインには指紋認証を使っていくつもりだ。指紋認証の場合、パネルにタッチせず、いきなり指紋センサーに指を押しつけるだけで解錠できる。長く使っていれば、天候や体質(指の湿気)、機器の経年劣化で感度が落ちることもあるかも知れないが、いまのところ解錠は極めてスムーズだ。

しかし手が濡れていたり、怪我などで指紋認証の感度が悪くなったときに備え、別の解錠方法も使えるようにしておきたい。ES-F300Dの場合、さまざまな解錠手段に対応しているのが頼もしい。

まずパスコードは最後の手段だ。玄関先でピポピポ入力するのは面倒なだけでなく、超望遠ズームで遠くから撮影されて解読される可能性もある(ないと思うが)。総当たり攻撃も困難なように、大きな桁数で設定し、なるべく使わないようにする。

専用アプリ。期間限定のゲストキーを発行して人に送ったりもできる

Bluetooth経由でスマホからも解錠できる。アプリから操作しても良いし、通信範囲に入ったら自動解錠するようなことも可能だ。しかし自動解錠はなんだか怖いし、カギを開けるためにいちいちアプリを取り出すのも面倒だ。自動解錠は設定せず、アプリからの解錠も緊急時のために設定だけしておくが、普段は使う予定はない。

しかしスマホは設定しておくと役に立つこともありそうだ。たとえば自宅で怪我や病気で倒れてしまった場合、スマホが手元にあれば救急や家族が来たときにドアを開けることができる(といっても玄関近くでないと通信できないのだが)。ほかの人のスマホにリモートでゲストキーを発行することも可能だ。

普段から利用できるような予備の解錠手段としては、やはり非接触ICが良いだろう。できればApple Watchをカギとして登録したいが、後述する理由からムリだと想定し、普段から財布に入れているカードが登録できれば十分、と思っていた。

玄関を指紋/iPhone/Apple Watchで解錠できるようにしてみた

ES-F300DはMIFARE(Type-A)とFeliCaの両方に対応している。ES-F300Dの詳細な仕様はわからないが、こうした電子錠は非接触ICの固有ID(シリアル)をカギとして登録するパターンが多い。しかしスマートフォンやApple WatchのMIFAREは、読み取るたびにランダムな固有IDを返す仕組みになっている。

NFC ToolsでApple Watchを読むとこんな感じ。ランダムIDを消す意味があるか不明だが一応消している

これを手軽に調べる方法がある。NFC対応のAndroidスマホに「NFC Tools」などのアプリをインストールすれば、MIFAREやFeliCaの内容を読み取れる。これによると、非接触IC入りのプラスチックカードだと通常はIDは固定だが(一部ランダムなカードもある)、たとえばApple WatchではMIFAREのIDが毎回、ランダムに変化する。

そもそもアップルデバイスのNFCの挙動はややナゾが多く、サイドボタン2回押しなどでカードを選択していないと読み取れない上に、FeliCaカードを選んでいても、両対応の読み取りツールだとMIFAREしか読み取れない。

Apple WatchでもFeliCaのIDは固定なのだが、ES-F300Dは両対応なので、ランダムなMIFAREのIDを読み取ってカギとしては使えない、購入前からそう思っていた。

しかし設置後、試しにApple Watchを登録してみたら、カギとして使えてしまった。サイドボタンを2回押して登録したFeliCaのカードを選択していないとダメだが、解錠にも使えている。ほかのFeliCaカードやiPhoneだと解錠できないので、カギとしての役割も果たせている。

解錠するときはES-F300Dのパネルをタッチして読み取りモードにし、Apple Watchでもカードを選ぶ必要があり、手間がかかる。普段の解錠には指紋認証を使うことになるだろう。しかし指紋認証がうまくできないときの備えとしては十分だ。エクスプレスカード設定していないFeliCaカードであれば、スキミングされる可能性は低いと思われるので、安全性も高い。

これはメーカーも保証してないようなので、使えると思って導入しない方が良いと思うが、しかしいまのところ使えているので、筆者の予備カギはこれでOKになりそうだ。

ES-F300Dの屋内側。キーチェーンのチェーン側が邪魔だったので別料金で移動してもらった。ストライクはドア枠に付けるタイプ

今回のカギ設置、工事費込みで6万円程度がかかっている(ついでの工事がなければ5.5万円くらい)。接着剤で貼り付けるタイプのスマートロックに比べると割高かも知れないが、筆者は非常に満足している。もう外出先で身ぐるみを剥がされても、指紋だけで帰宅できるし、カギになるものを盗まれても、盗まれたものの登録だけ削除すれば良い。ちなみにApple Watchの場合、外せば非接触IC含めてロックがかかるので、盗まれた時点でカギとしては役立たずになる。ある意味で以前よりもよほどセキュアになった。

非常に満足なのだが、あることに気がついた。

そういえば最近、外出機会が減ってるから、カギが便利になっても恩恵が少ない。まぁ外出機会が少ないからこそ、久しぶりの外出とかでカギを忘れたり施錠しそこねたりするのを防げることに意義があるのかも知れないが……