ハンドルロックは標準採用されている盗難防止装置
ハンドルロックは盗難防止装置です。ステアリングロックとも呼ばれ、車を簡単に盗難されないよう、現在の車には必ず採用されています。
装置そのものだけでなく、ハンドルをロックしている状態のことも指します。ハンドルがロックされてしまうと、解除しない限りハンドルを回すことができません。
また、車に標準搭載されているハンドルロック装置の他に、文字通りハンドルに鍵をかける後付けのハンドルロック商品も売られています。後付けハンドルロックについては、別記事で解説しています。
ハンドルロックをしていると、車をまっすぐに転がすことができません。そのためけん引などによる車両盗難を防止できます。
また、ハンドルロックをかけている状態ではエンジンをかけることができません。
ハンドルロックが無い場合、ドアを開けられなくても、後輪を浮かせてけん引すれば盗難できてしまいます。また、カギを開け車内に入り込み、サイドブレーキを外してしまえば、人が押して転がすことも可能です。
しかしこのような場面でも、ハンドルロックをかけていればタイヤを転がすことはできません。当然、けん引もできませんし自走もできなくなります。
ハンドルロックの仕組み
ステアリングシャフトと呼ばれる、ステアリングの軸の一部にへこみがあります。そのへこみに突起物をひっかけることでハンドルをロックするというのが、ハンドルロックの仕組みです。
昔のハンドルロックは、機械的にカギを挿し込み回すことで突起物を収納する仕組みでした。しかし、プッシュスターターが普及してからは、突起物の収納は電動で行うようになっています。
電動式の場合、イグニッションスイッチのセンサーを感知し、ステアリングロックのモーターを回転させてハンドルロックを解除する仕組みとなります。
機能はどちらも同じであり、電動式か機械式かの違いだけです。
ただし、電動式の場合、ステアリングロックのモーターが故障すると、ハンドルロックが解除できないトラブルに発展することもあります。しかし、これはめったに起こらないトラブルなので過剰に心配する必要はないでしょう。
ハンドルロックのやり方・使い方
エンジンを切ったあと、ハンドルを右か左に思いっきり回すとロックできます。ただし、ハンドルロック解除後はロックがかかりづらくなることがあります。
その場合は、一度運転席のドアを開けてみてください。ドアを開けることで簡単にロックがかかることがほとんどです。
この方法でもロックがかからない場合、シフトポジションを確認しましょう。AT車の場合、「P」に入れておかないとハンドルロックはかからないので注意しましょう。
ハンドルロックをかけるとエンジンはかからなくなります。盗難防止装置であることから、ハンドルロックの解除がエンジンをかける許可となるのです。そのため、カギ挿し込み式の車の場合、ハンドルロックを解除しないとカギが回りません。
プッシュスタートタイプも同様で、いくらエンジンスタートボタンを押してもハンドルロックがかかっているとエンジンはかからなくなります。その際、メーター内に「ハンドルロックを解除してください」などの表示がされており、エンジン始動はできません。
このように挿し込みタイプ、プッシュタイプ共に、ハンドルロックを解除しなければエンジン始動はできないようになっています。
ハンドルロックの解除方法
ハンドルロックは、イグニッションキーを回しながらハンドルを少し揺らすことで解除できます。
もし、なかなか解除できなければ、ハンドルを回している方向に思いっきり切ってみましょう。突起物のあたり具合によって、少し揺らしただけでは突起物が収納されない場合もあります。
その場合、上記の方法を行い、突起とへこみ部分の隙間を作ってあげることで、スムーズにハンドルロックを解除できます。力づくで解除しようとせず、方法を工夫することにより小さな力で解除可能です。
キーレスエントリー・スマートキーもハンルロックの解除方法は、アナログキーと大きく変わりません。ハンドルを左右に動かしながら、エンジンスタートボタンを押すだけなので、むしろアナログキーの解除方法よりも簡単にできます。
ハンドルロックが解除されていなければ、エンジンスタートボタンのインジケーターが点滅するので目安にしてください。
ハンドルロックの解除方法は製造メーカーによって異なることはありません。上記の方法であれば、基本的にどのようなハンドルロックでも解除可能です。
ハンドルロックが外れない場合は、上記の方法を試してもらいたいのですが、それでも外れない場合、ステアリングロックユニットが故障している可能性もあります。
ステアリングユニットとはハンドルロックの部品名称です。この装置にハンドルをロックするための突起物が収納されています。
何度もお伝えしているように、滅多に壊れる部品ではないので心配する必要はありません。しかし、メーカーのなかにはリコールやサービスキャンペーンを実施ている車種もあります。
スズキや日産、三菱の一部の車種でハンドルロックのサービスキャンペーンが発表されています。対象車種は以下のとおりです。
メーカー | 対象車種 | メーカーサイトURL |
スズキ | ワゴンR/アルトラパン/パレット/アルト | スズキリコール情報 |
日産 | ルークス/モコ | 日産リコール情報 |
三菱 | デリカD2 | 三菱リコール情報 |
もし突然、ハンドルロックが解除されずエンジンがかからなくなってしまった場合、サービスキャンペーンの対象かもしれません。自腹で修理しようとせず、必ずディーラーへ確認しましょう。
ハンドルロックのよくあるトラブル
ハンドルロックのチェックランプが点灯した場合、ハンドルロックが故障している可能性があります。ハンドルロックのチェックランプの種類は車種によって違いがあり、一概に形状をお伝えすることはできません。
ハンドルロックの故障では、ハンドルロックが解除できない、ロック時の音がおかしいなどの症状が挙げられます。なかには、ハンドルロックとは関係のないタイミングでチェックランプが点灯したりといった事例もあるようです。
ハンドルロック以外に、キーレスが原因であることも考えられるので、詳しい状態をしっかりと把握することが大切です。
あまり故障するパーツではないものの、特定の車種で不具合が確認されています。もし車を使用中や駐車中にチェックランプが点灯した場合、すぐに行きつけのディーラーや整備工場、JAFなどに連絡しましょう。
ハンドルロックが解除できていなければエンジンをかけることはできません。しかし必ずしも、「エンジンがかからない=ハンドルロックされている」ではありません。
バッテリー上がりやキーレス電池切れ、シフトが「P」に入っていないなど考えられる原因はたくさんあります。もし突然、エンジンがかからなくなった場合、ハンドルロックだと決めつけずまずは基本的な部分を確認しましょう。
エンジンがかからないときに考えられる原因や対処法は、別記事で詳しく解説しています。