『恋です!』杉咲花と杉野遥亮のほっこり姿が登場人物をみんな “いい人” 化する

恋愛ドラマながら、“男たちのドラマ” だったように思う。

先週放送の杉咲花主演『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(日本テレビ系)第7話のことだ。

外出時は白杖を使って生活している弱視の少女・赤座ユキコ(杉咲)と、ケンカっ早いが根は純粋な不良少年・黒川森生(杉野遥亮)によるラブコメディ。

世帯平均視聴率は第1話が8.8%でスタートし、第7話は8.6%。第2話〜第6話までは8%台と9%台を行ったり来たりしており、大崩れすることなく安定した数字。固定ファンがしっかりついているのだろう。(※視聴率はビデオリサーチ調べ/関東地区)

実際、オリコングループが全国の視聴者を対象にリサーチしている「ドラマ満足度ランキング」では、第6話までで通算3度も1位を獲得しているため、実際に視聴している人たちからの評価が高いことが伺える。

お互いに好意を伝え合い正式交際しているユキコと森生。先々週放送の第6話ではキスまで進展した。

そして先週放送の第7話では、ユキコの姉(奈緒)の誕生日をユキコ、森生、そして森生のライバル・金沢獅子王(鈴木伸之)で祝う。しかし、出張で不在のはずだったユキコの父(岸谷五朗)が突然帰ってきて、初対面の森生が右往左往する展開だった。

■獅子王演じる鈴木伸之の演技と出演作に注目

第7話は獅子王とユキコの父が男気で魅せた回だった。

獅子王は森生の顔にキズをつけた張本人だが、実は森生に密かに恋心を抱いている。けれどその想いは胸に秘めたまま、森生・ユキコカップルを応援。2人の交際を素直に歓迎できない父のせいで少々気まずい空気が流れたところで、獅子王は「森生クイズ」を出すなどして場を和ませようとする。

そして、話題が森生の顔のキズに移ると後悔の念を吐露し、目を潤ませながら「森生、幸せになってくれ。それが俺の夢だ」と伝えるのだ。

自らの恋心を押し隠して伝えたエールは、切なく、胸アツだった。

『恋です!』杉咲花と杉野遥亮のほっこり姿が登場人物をみんな “いい人” 化する

森生と獅子王のやりとりを見た父は、心をほだされたのか、ヘンに意地を張ることをやめ、後日ユキコと森生に素敵なサプライズを贈る。

ユキコが自身の夢を「顔が見たい。黒川の顔。ホクロどこにあるのか知らないし」と語っていたのを聞いた写真家の父は、撮影スタジオにユキコと森生を呼び出す。

そこにはユキコの身長をゆうに上回る特大サイズの森生の顔写真が……。「ルーペを使えば大きい字を認識できる」程度の弱視のユキコでも、森生のホクロの場所がわかるようにと用意したプレゼントだった。

父親の立場からすれば、大事な娘の彼氏は面白くない存在だったはずだが、純粋に想い合うユキコと森生のやりとりや、森生と獅子王の友情を見たことで、森生を信頼できる男だと認めたのだろう。

さて、本作はユキコと森生に関わったキャラクターたちが、みんな “いい人” 化していくのが特徴だ。

当初、姉はヤンキーの森生がユキコに近づくことを大反対していたし、森生に片思いしていたハチ子(生見愛瑠)はユキコに敵対心を燃やして、イジワルしていた。そんな2人も今ではユキコと森生を応援し、温かく見守っている。

それはひとえに、ユキコと森生の恋がまっすぐでキラキラしているから、そのピュアな尊さに感化されて “いい人” 化していくのだろう。

今回の獅子王の想いに父が連鎖したように、ユキコと森生が発するほっこりオーラは周囲のキャラをどんどん巻き込み、その劇中の空気感が視聴者にも伝播していることが、本作の人気の秘訣なのかもしれない。

余談だが、今回、男を見せた獅子王を演じる鈴木伸之は、なんと今期だけで3作の連ドラにレギュラー出演しているのである。

木曜深夜に放送中の『お茶にごす。』(テレビ東京系)では主演中。こちらでも演じているのは “デビル” と称されるヤンキー風の役どころだ。

一方、月曜夜放送の『ラジエーションハウスII〜放射線科の診断レポート』(フジテレビ系)では、雰囲気をガラリと変えてボンボンの整形外科医役を好演している。

売れっ子俳優が同時期に2作品に出演することは珍しくないが、鈴木の場合は主演を含めた3作品。これはかなり異例のことで、それだけ今のドラマ業界で鈴木の需要が高いということだろう。

――そんな鈴木演じる獅子王の今後も気になる『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』第8話は今夜放送だ。

●堺屋大地恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中