HOMMA,INC.は2018年7月31日、都内で事業説明会を開催した。同社は2016年に米シリコンバレーで創業したスタートアップ企業で、デザイン性の高いスマートハウスを建設・販売する。創業者でCEOを務める本間毅氏は「シリコンバレーの企業のイノべーションによって電話はスマートフォンになり、クルマは電気自動車になった。これに対し、住宅は100年間ほとんど変わっていない。iPhoneやテスラのようなイノベーションを住宅にも起こしたい」と話す。
米国の戸建住宅は中古が89%と大半を占め、新築は11%にすぎない。しかも新築の9割が建売住宅となっている。しかし、建売住宅は仕上げの品質や工期にばらつきがあること、外部委託するためデザインが売れ筋であるオーソドックスなものになりがちであるといった問題があるという。HOMMA,INC.では、こうした既存の建売住宅とは一線を画し、ユーザーエクスペリエンス(UX)を重視したデザインによる住宅作りをコンセプトとする。また、テクノロジーの導入を前提としたデザインのため、住みやすく先進的な住宅を実現することができる。スマートロックやスマートドアといったスマートホーム関連デバイスは施工時にビルトインし、メンテナンス性も考慮して設置。従来のスマートホームのようにAIスピーカーやスマートフォンアプリで照明や空調機器をコントロールするだけでなく、接続したデバイスからの情報を集約・活用し、自律化・自動化する。また、宅内に設置するWi-Fiのアクセスポイントは、スペースが広い米国の住宅では接続性がしばしば問題となる点を考慮し、法人向けを採用するという。
HOMMA,INC.はすでに「HOMMA ZERO」という実験住宅・ラボで検証を行っている。2019年3月には、3~10戸規模の「HOMMA ONE(ホンマ ワン)」が、カリフォルニア州ベニシアに完成する予定。HOMMA ONEは、初めて住宅を購入するミレニアル世代で、なかでもテクノロジー企業に勤めるITリテラシーの高い人たちを顧客層として想定している。できるだけ土地を狭くして安価に設定する代わりに、間取りや収納を工夫する。「コンパクトサイズながら、クオリティはミッド~ハイエンド向け」(本間氏)という。
さらに2019年以降は、10~20戸規模の「HOMMA Ⅹ(ten)」、100戸以上の「HOMMA 100」も計画している。コミュニティ単位で開発を行うことで、事業の拡張性が期待できるとしている。
なお、HOMMA ONEではIoTデバイスキッチン・バス・トイレタリー、収納、生活家電などに、日本企業の製品・素材を活用したい考え。パートナーシッププログラムにはすでにサンワカンパニー、パナソニック エコソリューションズ社、ヤマハ・コーポレーション・オブ・アメリカなど5社が名を連ねるが、より多くの企業に参画を呼びかけていく。