全裸で寝ると健康にいい?日本の環境ではパジャマ着用を推奨 「全裸よりパジャマ」が日本人の眠りにいいワケ

深部体温の昼夜の差を大きくするためには、全裸で寝るより、規則正しく過ごすことをおすすめします。よい睡眠がとれない人は、夕方のピーク時になっても体温が上がらず、夜、布団に入る時間になっても体温が下がらない、深部体温のリズムが乱れた状態であると考えられます。深部体温のリズムには、「メラトニン」というホルモンが影響します。メラトニンは、睡眠時に多く分泌され、朝目覚めて太陽の光を浴びると、脳からの指令で分泌が止まります。しかし、現代の多くのビジネスパーソンは帰宅時間が遅く、寝る直前までスマホやPCを眺めて人工的な光(ブルーライト)を浴びているため、自然の光との関係が乱れがちです。ライフスタイルを見直して、睡眠の質の向上をはかりましょう。

■ウオーキングやストレッチなどの有酸素運動をするといい

もうひとつおすすめしたいのは、適度な運動です。デスクワーク中心のビジネスパーソンの多くは、慢性的な運動不足を感じているのではないでしょうか。そういう場合は、寝る2〜3時間前に軽いウオーキングやストレッチなどの有酸素運動をするといいでしょう。このようにして一時的に体温を上げておくと、布団に入る頃には体温が下がり、自然と睡眠が促されます。ただし、あまり激しい運動をすると、脳が興奮して眠れなくなるので、クタクタになるまでの運動は避けてください。

全裸で寝ると健康にいい?日本の環境ではパジャマ着用を推奨 「全裸よりパジャマ」が日本人の眠りにいいワケ

また、比較データはありませんが、寝るときは全裸ではなく、やはり寝巻きを着たほうがいいでしょう。というのも、ここは高温多湿の日本です。私たちは睡眠中、冬でもペットボトル1本分程度の汗をかいています。そんな環境で全裸で寝れば、かいた汗が体の表面に残り、ムレによる不快感が寝返りを誘発。頻繁な寝返りは睡眠の妨げにつながります。そこで私が寝巻きにおすすめしているのは、肌触りがよく吸湿性に優れ、ある程度体幹を覆う「パジャマ」です。パジャマは体温を下げるためにかいた汗を吸って気化させるため、質の高い眠りを維持しやすいのです。

また、音楽を聴いたり、本を読んだりといった毎晩寝る前に行う習慣行動を「入眠儀式」といいますが、寝巻きに着替えることもそれにあたります。「寝る前にやるべきことをやった」という意識が、脳や体に「これから寝ます」という合図として伝わり、自然と睡眠スイッチに切り替わるのです。

▼日本人は、全裸よりもパジャマを着て寝たほうがいい

----------白濱 龍太郎(しらはま・りゅうたろう)医学博士・日本睡眠学会認定医東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科統合呼吸器病学修了。公立総合病院睡眠センター長などを経て、2013年6月からRESM新横浜 睡眠・呼吸メディカルケアクリニック院長。----------

(医学博士・日本睡眠学会認定医 白濱 龍太郎 構成=大高志帆 撮影=奥谷 仁)