JR西日本 鉄道本部 理事 イノベーション本部長の久保田修司氏
BRTは公道ではなく「専用道」を使う高速輸送システムであり、その意味で線路を走る鉄道に近い。一般車両や歩行者、自転車等が基本的に立ち入らない環境で運行できる利点を活かして、自動運転・隊列走行を早期に実現しようというのが両社の狙いだ。ソフトバンク 執行役員 法人事業統括付(広域営業担当)兼 鉄道・公共事業推進本部長の清水繁宏氏は、「時速60kmでの営業運転の実現を目指す。世界でもまだ例がない」取り組みだと強調した。
実現を目指すBRTのイメージ
最大4台を自由自在に組み合わせ具体的なサービスイメージだが、大型バス、小型バス、連接バスの3種類の自動運転車両を用いて、これらを組み合わせた輸送システムを実現する。先頭車両は、異常発生時の対応や運行管理等を担うスタッフが乗ることを想定している。また、車種が異なる自動運転車両が合流・分裂したり、一般道を走る車両と組み合わせたりして隊列を構成し、需要に応じた柔軟な輸送能力を提供するようなサービスを目指しているという。「最大4台を自由に組み合わせる。例えば、専用道から自動運転でスタートし、支線で小型バスと合流して隊列走行で運行する。あるいは、途中で先頭車両だけ隊列を解除して普通のバスとして一般道に乗り入れ、2列めを先頭として隊列走行する」(清水氏)といった、様々な運行形態が可能なシステムの開発・実証を進める。
実証実験で確認する自動運転技術
両社で実現を目指すBRTについて、JR西の久保田氏は次のようなポイントを挙げた。1つは「人にやさしく使いやすいBRT」。自動運転・隊列走行モード以外の「他の交通モードとの連携」が可能な運行システムを目指す。「既存の道路等との接続が容易で、路線バス等との乗り継ぎもスムーズになる」とした。「街づくりとの連携」も目指す。駅やターミナルを結節点として、複数の交通インフラを接続。「家の近くから(有人運転の)小型バスに乗り、そのまま隊列走行に合流する。ドア・ツー・ドアに近い利便性を提供していきたい」という。もう1つが「持続可能性」である。隊列走行が可能になれば、最大で一度に500人程度の輸送が可能になる見込みで、人手不足に悩む運転手の確保も容易になる。加えて、「鉄道に比べるとシンプルな設備・構造で、保守作業も含めてコストのメリットが高い」と同氏。自治体や地域事業者とともに、社会実装に向けた取り組みを進めていく考えだ。