※この記事は英語で書かれた記事を日本語訳したものです。英語版の記事はコチラから
〈3日11時更新〉当該件にデットが含まれない旨が判明。タイトルを7社→6社に修正し、訂正線部削除。
宮崎を拠点とするアグリテックスタートアップ AGRIST は3日、シリーズ A ラウンドで資金調達を実施したことを発表した。このラウンドに参加したのはドーガン・ベータ、宮崎太陽キャピタル、ENEOS イノベーションパートナーズ、宮銀ベンチャーキャピタル、ジャフコグループ(東証:8595)、インキュベイトファンド、及び、名前非開示の地域金融機関一社からのデットファイナンス。
これは、同社にとって2019年に実施したシードラウンドの続くものだ。今回シリーズ A ラウンドの調達金額は明らかにされていないが、INITIAL によれば、シリーズ A ラウンド後の同社バリュエーションは16億円超であるため、数億円程度と見られる。
農林水産省の統計によると宮崎県はピーマン国内生産量の5分の1を占める。AGRIST はそんな人口17,000人の街・宮崎県新富町で2019年で創業した。創業者の齋藤潤一氏は、新富町役場が2017年に設立した地域商社「こゆ財団」の代表理事を務め、ライチの開発、移住者や起業家の誘致などで注目を集めるなど地域プロデューサーとして知られる。(BRIDGE で取り上げた2019年の九州・山口ベンチャーマーケットでは、新富町の緑色のシャツを着て審査員を務めていた)
AGRIST では農業の人手不足を解決する AI と収穫ロボット「L」を開発している。完璧なパフォーマンスが実現できるものの高価なロボットではなく実用的なシステムを目指し、ビニルハウスの中で平坦でない土壌の上でなく、空中に張ったワイヤを使って移動できる収穫ロボットを地元のピーマン農家らと開発した。ロボットに備わったカメラからの画像認識により、収穫を完全自動化する。
AGRIST は今年から農産物の収穫率を高めるOS「agriss」の開発に着手する。BRIDGE のインタビューに応じた斎藤氏は、L を agriss と組み合わせることで、データドリブンなロボットに成長させていきたいと話した。
世界中の農業の収穫率を上げたい。ロボットを導入してもらう農家が増えることで世界中からデータが集まるようになり、それを元に収穫方法をさらに改善していけばそれが可能だ。
これを将来は、日本だけでなく中国やアフリカなど食糧問題を抱える地域でも動かせるようにしたい。世界の農業を日本の農業が変える、そして、その源は地方のビニルハウスの近くで作られているという事例は、これまであまりなかった。
AGRIST は、今回ラウンドの出資者の一つである ENEOS イノベーションパートナーズの親会社 ENEOS ホールディングス(東証:5020、提携時は 旧称 JXTG ホールディングス)と営農型発電事業の開発で協業している。これは、農作物生産地の上部空間に太陽光発電設備を設置し、発電もしながら AI が自動的に収穫率を上げるパッケージの開発を目指すものだ。非電化地域での農業や SDGs ビジネスの開発にも貢献が期待される。
AGRIST は IVS 2020 Online「LaunchPad」で3位及びプルータス・コンサルティング賞に入賞。2020年度の「スマート農業実証プロジェクト」に採択され、6人の農家と収穫ロボット6台を活用した稼働実証を開始している。ピーマン生産地として知られる茨城県神栖市でピーマン自動収穫ロボットの実証実験を開始したほか、埼玉県深谷市が主催する「DEEP VALLEY Agritech Award」を受賞し、同市できゅうり自動収穫ロボット導入する予定。また、「JA アクセラレータープログラム 第2期」にも選出された。
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