ソーシャルメディアやデータが商業のあり方を変えていく中、パリに拠点を置く Heuritech が400万ユーロ(約4.7億円)を調達した。ファッションや美容分野のクライアントが、急速に変化する人々の嗜好を常に把握できるよう役立てる。
同社はアルゴリズムやコンピュータビジョンを活用し、インターネット上に出回っている大量の画像やテキストをスキャンし分析する。出現し、変化し、やがて消えていくトレンドを把握するためだ。ソーシャルメディアが小規模なブームの盛衰を加速させる中、後れを取ることが致命的な業界において、企業は時代の流れに遅れないよう必死だ。
Heuritech の CEO を務める Tony Pinville 氏は次のように述べた。
ソーシャルメディアのおかげでトレンドがとても速く変化するので、トレンドを把握するのは非常に困難です。
2013年に設立された Heuritech は、AI や機械学習が非テック系業界のより広い範囲へと次第に対象を広げている様子を示す好例だ。ソーシャルメディア、ネット上での共有、e コマースは大量のデータを作り出しており、本当にこういった進歩に埋もれるのではなく活用したいのであれば、企業はより安定したツールが必要となる。
Pinville 氏は、機械学習分野で博士号を取得した友人の Charles Ollion 氏と共に Heuritech を共同設立した。Pinville 氏によると、両氏は最初の3年間はツールのユースケースを見つけることに焦点を当てたが、やがてファッションと高級品市場に行き着いたという。
同社はフランスの LVMH と密接に連携するようになり、やがて2017年に製品分析プラットフォームをローンチした。プラットフォームが進化し処理するデータも増えたため、トレンド予測プラットフォームも作成した。それにより Louis Vuitton、Dior、Adidas といったクライアントもついた。
現在では、1日に300万個の画像や動画を高速処理するようになった。パターン、製品、形、色といった要素を含め、1つの画像につき2,000個の詳細情報を特定できる。Pinville 氏によると、このデータは製品開発者やマーケティング担当者に共有され、デザイン決定に活用されるという。
プラットフォームのデータは、トレンドがどのくらい続くかやどういった人たちに好まれるかといった助言を提供し、製品の購入、マーケティング、仕入れといった面で企業が決定を下す際にも役立つ。
同社は今年、美容分野へも進出を始めた。Pinville 氏によると、今回調達された資金は、製品開発やマーケティングチームの拡大といった面で美容分野の推進に活用するという。同社の従業員数は現在40名だ。
今回の資金調達ラウンドは、ベンチャー企業の Elaia と Serena から資金を調達したほか、Jimmy Choo の CEO を務める Pierre Denis 氏と Cartier France の元ゼネラルマネージャー Coralie de Fontenay 氏も参加している。
【via VentureBeat】 @VentureBeat
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