ダウンロード用ゲームから佳作・良作を紹介する“おすすめDLゲーム”連載。今回はトムクリエイトが開発したNintendo Switch用ダウンロードソフト『大乱盗!ジュエルウォーズ』をお届けします。
舞台となるのは、お金が通貨管理システム“ゴールドアセット”に一元化された世界。ゴールドアセットによって、日本から硬貨やお札などの現金がなくなり、すべての通貨がネットワーク上で管理されるようになっていました。
キャラクター情報
本作で主人公となるのが、とある4人組です。4人は怪人二十面相やアルセーヌ・ルパンといった名だたる怪盗の子孫なのです。
怪人二十面相の子孫で、美術大学に通う青年。美術品の保存活動に熱心で、その費用をまかなうため義賊として動いています。
怪盗アルセーヌ・ルパンの子孫。アルセーヌ・ルパンが親日家であったため、一族で移住してきました。現在は女性や子どもの支援活動をおもにしています。
鼠小僧次郎吉の子孫。義賊として行動していた先祖、鼠小僧に強い憧れと尊敬を抱いています。
大盗賊として名高い石川五右衛門の子孫。母親の死をきっかけに塞ぎがちになり、それからというものあまり友人と呼べる相手はいません。
彼らが獲物として狙うのは、ネットワーク上で管理されている通貨です。本作の世界ではネットワークに入り込める“フルダイブシステム”があり、資金が隠されている仮想空間にダイブして盗んでしまおうというわけです。
とはいっても、むやみやたらに通貨を盗むわけではありません。義賊である彼らが狙うのは、真っ黒にそまった怪しい資金のみなのです。
フィールドを駆け回って資金を稼げ!
ゲーム内容は、各ステージ(フィールド)をクリアしていくタイプ。フィールドを動き回りながら資金を獲得し、目標金額に達した後、ゴールに辿り着けばクリアとなります。
といっても、単純にフィールド上に落ちているわけではありません。特定の場所で“マイニング”することで“ジュエル”を獲得でき、ジュエル取得後“サポーター”に渡すことで、やっと資金を得られるのです。
工夫されていると感じたのが、このジュエル換金の仕組みです。ジュエルは3種類あり、それぞれ換金時に得られる資金額が異なります。本作には“ジュエルは最大10個までしか持てない”、“同じ種類のジュエルを10個同時に換金するとボーナスがつく”といったルールが存在します。
フィールドには制限時間が設けられており、短時間でいかに多くの資金を得るかが重要。ルールを把握して考えて行動し、高額資金を得た時の“してやったり感”を味わえるのは本作ならではでした。
ネットワークの中とはいえ盗みを働いているわけですから、妨害されることもあります。フィールドを進めると、一定時間レーザーを射出する“レーザー”や、キーを獲得することで開く“キーロックドア”などのギミックが登場し、プレイヤーを妨害してきます。
それらの中でも厄介なのが、通報を受けたであろう警察の存在。ステージ内を徘徊している警察に触れると制限時間が減少。ゼロになると、大量の警察が発生して逃げ場がなくなり、ほぼゲームオーバーになってしまうでしょう。
また、ライバルの怪盗がいることも。ライバルに触れると獲得したジュエルが奪われてしまいます。主人公の祖先である大盗賊たちは、警察などから逃げるのがうまかった……はず。ここは、彼らにならって華麗に避けていきたいところですね。
ただし対抗手段も用意されていて、体当たりや射撃といった攻撃を行えます。攻撃を当てると気絶させられるうえに、相手がジュエルを持っていた場合は奪うことができます。フィールドによっては警察の所持するジュエルを奪わないとクリア条件の金額に満たないこともあるので、ほんの少しの勇気と度胸を必要とします。
プレイしたところ、フィールド構成はシンプルでわかりやすい印象。アクションゲームが苦手な人もプレイしやすいですよ。アクションゲームが得意な人のために難易度ハードを選べるのもうれしいポイント。
……ですが、侮ってはいけません。ハードは序盤でもかなり難しく設定されています。筆者は、あっという間に警察のお縄にかかってしまいました!
▲左がノーマルで、右がハードです。フィールドの形は同じでも、警察の有無やジュエルの場所が変化しています。他にも、やり込み要素が用意されています。それが各フィールドに設けられた“ミッション”です。“1:30以内にクリア”や“マイニング4回以内でクリア”など、ミッション内容はさまざま。単にクリアするだけであれば問題ないのですが、ミッションを達成するとなると話が変わってきます。前述したようなジュエル換金のルールを把握して、どのように動けばより大量の資金を獲得できるのか考えなくてはなりません。
ただ、これがクセになってくるんです。プレイに慣れてくると、「このフィールドはここにジュエルがあるから、こう動いて警察を避けつつ換金しよう」といったように、頭の中でシミュレーションするようになるかと。思い描いた通りに行動できたときは「計画通り!」と、ニヤッとしてしまいました。
もう一点、個人的に楽しめたのは“絵画への寄付”です。集めた資金を寄付すると絵画を見られます。有名な絵画をモチーフにしたタイトルがついており、どんな絵が描かれているのか気になって、つい寄付したくなるんですよ。
▲“最後のハンバーグ”や“美ナスの誕生”など、名前も内容もクスリとさせられる絵画ばかり。どんな絵画が元ネタなのか、調べると勉強にもなりそうです。多人数プレイで怪盗による奪い合いバトルを楽しもう!
ストーリーモードは1人用ですが、複数人で遊べるフリーバトルも用意されています。フリーバトルはオンラインではなく、ローカル通信とおすそ分けプレイのどちらかで行います。プレイヤー同士が近くにいる状態でできるので、みんなでワイワイ言い合いながら遊ぶことができるのが特徴です。
対戦のルールは3種類! “誰よりもたくさんお金を入手せよ!”と“誰よりもたくさんジュエルを入手せよ!”は、ストーリーモード同様資金やジュエルを集め、たくさん獲得できたほうの勝利です。
“誰よりもたくさんフィールド外へ吹き飛ばせ!”は少し特殊で、ジュエルの場所からいろいろなアイテムが出るようになります。その中からアイテム“ハンマー”を取得した状態で相手に攻撃し、よりたくさん相手を吹き飛ばしたプレイヤーが勝利となるバトル性の強いものになっています。
勝敗の決し方以外にもフィールドの形状やサポーター数、警察の有無などを設定できます。「次はレーザーフィールドで、警察の出現はONにしよう」や「ゲームにまだ慣れていない人がいるからサポーター数を多くしよう」など、いろいろな設定でプレイできるわけです。そこまで複雑なルールや設定ではないので、ルール説明は手短に、すぐ遊べるのがうれしいですね。筆者も本作未プレイの同僚を連れてきてから、1分後にはゲームスタートできました!
▲フリーバトル中は、各プレイヤーの行動が表示されます。動画配信サイトのコメント実況のようで、プレイしていない人でも楽しめます。ジュエルの取り方やサポーターへの換金法など最初は少し戸惑いますが、慣れてくるとその奥にある戦略性の高さが見えてきます。1つのフィールドのクリア時間は短めでサクサクプレイできるので、ちょっと気分転換したい時や気軽にバトルしたい時にピッタリの1本です。