韓国科学技術情報通信部は2月10日、「情報保護産業(注1)の戦略的育成策」を発表した。世界の情報保護市場が2024年までに年平均9.4%の成長が見込まれる中、人工知能(AI)セキュリティーや、非対面セキュリティー、融合セキュリティーなど新しいセキュリティー市場(注2)の製品や技術の開発を通じ、情報保護産業の次世代戦略を推進することが目的。同育成策は次の4つの戦略から構成される。
戦略1:成長エンジンの確保に向けた情報保護分野の新市場の創出
(1)AIセキュリティー:2025年までにAI技術を用いたセキュリティー製品やサービスの開発を担う先進セキュリティー企業60社を発掘・育成する。
(2)非対面セキュリティー:国民の日常生活における非対面型サービスとインターネット上の仮想空間(メタバース)、無人店舗など新たなサービスのセキュリティー脅威に対応する技術を開発する。
(3)融合セキュリティー:デジタルコンテンツ、デジタルヘルスケア、スマートファクトリー、自動運転、スマートシティーの5分野について、国内に融合セキュリティー拠点を設け、従来技術とセキュリティーの一体的運用を図る。
戦略2:世界トップクラスの情報保護企業の育成
世界的企業と技術格差の大きい分野について課題を設定し、課題解決のための技術・製品の開発を行う。
戦略3:情報保護産業の基盤強化に向けたサプライチェーンの拡充
モノのインターネット(IoT)機器へのハッキングなどに対応するため、熱画像カメラ、ドアロック、ドローンなどに情報保護認証技術を採用し、情報通信機器セキュリティーの基盤を整備する。
戦略4:次世代の情報技術の競争力確保
情報保護分野の研究開発規模を2022年に928億ウォン(約90億160万円、1ウォン=約0.097円)に拡充し、次世代通信規格(6G)、量子技術に対応したセキュリティー技術の開発、境界型防御から「ゼロトラスト」セキュリティー基盤技術を確保するための暗号技術などの開発を進める。
(注1)情報保護産業法第2条で、「情報保護のための技術および情報保護技術が適用された製品を開発・生産または流通し、またはこれに関するサービスを提供する産業」と定義している。
(注2)これまでの情報保護産業は、情報セキュリティー〔ネットワーク上の情報漏出、毀損(きそん)の防止〕、物理的セキュリティー(災害、犯罪の防止)が中心だったが、今後はスマート工場やスマートカーなど、伝統的産業とICT(情報通信技術)の融合が加速し、「融合セキュリティー」市場の成長が見込まれるとしている。
(当間正明)