自宅にいるとき、突然地震が発生…。揺れが収まりひと安心していると、煙の臭いがしてきました。先ほどの地震による激しい揺れで、電気スタンドや照明が、布団の上に落ちて出火してしまったようです…。もしあなたが同じような状況に置かれたら、一体どうすればいいのでしょうか?
正しい知識とすぐにできる小さな行動が防災意識を高め、あなたとあなたの大切な人を救います。
今回は、地震によって発生する火災から身を守るための対処法をご紹介。
この災害テーマのポイント
- 地震後は物が散乱して、火災が起きやすい状態に
- 地震の揺れが収まったら電気・ガス・ブレーカーをオフ
- 「通常の備え」「電気火災への備え」「非常時の電源の確保」の3点セットで考えよう
この災害テーマのポイント
- 地震後は物が散乱して、火災が起きやすい状態に
- 地震の揺れが収まったら電気・ガス・ブレーカーをオフ
- 「通常の備え」「電気火災への備え」「非常時の電源の確保」の3点セットで考えよう
目次
リスク:地震後は物が散乱し、着火しやすい危険な状態に。電気復旧時の「通電火災」にも要注意
地震発生後は物が散乱するなど、室内はいつもに増して着火しやすい状況になっているため、二次災害として火災が多発します。過去の例でも大きな被害が。
1995年の阪神・淡路大震災 | 2011年の東日本大震災 | |
---|---|---|
火災発生数 | 約300件 | 約300件 |
焼死者数 | 約400人 | 約150人 |
地震によって発生する火災は、大きく分けると「電気火災」「普通火災」「津波火災」の3つ。
① 電気火災
電気製品や電気設備が原因で発生する火災。阪神・淡路大震災、東日本大震災で発生した火災は、出火原因が確認されたもののうち、約6割が電気火災でした。また、太陽光発電設備も、もし地震で損傷した場合でも日光があたる限り、発電を止めないため、出火の恐れがあります。
主な出火原因
地震後の電気復旧時に起こる「通電火災」
通電が再開される際に起こる「通電火災」も、電気火災に含まれます。例えば、壊れた配線コードへ再通電することで出火したり、水槽が倒れて水がなくなった観賞魚用ヒーター※から出火したりします。通電火災は、その家の住人が避難先にいるなど、自宅を離れている間に起こるケースが多いため、初期消火が遅れて大規模延焼しやすいことも恐ろしさのひとつ。避難をする前にはブレーカーを落とす、復電時は立ち会って十分に安全を確認するなど、適切な対策に努めましょう。
② 普通火災
ガス器具・配管や火の元など、電気機器・配線以外によって起こる火災。
主な出火原因
③ 津波火災
津波によって可燃物や危険物が打ち寄せられ、一緒に漂流してきた火源から着火炎上して大規模延焼に至る火災。漁港や工業地帯では、津波火災の危険が高まります。東日本大震災で起こった火災のうち、4割超がこの火災でした。
主な出火原因
対処法:まずは自分の身を守る。揺れが収まったら、電気・ガス・ブレーカーをオフ
地震後の火災を防ぐための対処ステップ
① 地震発生後、まずは第一に自分の身を守る
② 揺れが収まったら、電気機器類のスイッチを切り、プラグを抜く。ガス機器を使用していた場合は、火を消し、ガス栓も閉めるガスメーターには通常、震度5程度以上の揺れを察知した場合、ガスを自動遮断する安全装置が設置されています。
③ 家から離れて避難をする場合は、ブレーカーを切るたとえ器具に損傷がなくても、無人になった家で、余震で物が落ちてスイッチが入ってしまったり、配線が傷んで出火したりすると、すぐに消火ができず、大きな火災につながってしまう可能性もあるため、家を離れる際はブレーカーを必ず切りましょう。
また、通電が再開される際は、電気機器が破損していないか、配線やコードが損傷していないか、燃えやすいものが近くにないかなどを入念にチェック。しっかりと安全を確認してから、ブレーカーを戻しましょう。
通電・使用再開時、特に気をつけるもの
事前の備え:「電気火災への備え」「必要な電源の確保」「通常の備え」の3本柱がキモ
地震による火災を防ぐには、「電気火災への備え」「必要な電源の確保」「通常の火災・地震への備え」の3つに分けて考えましょう。
① 電気火災への備え
感震ブレーカーは、設定以上の揺れを感知すると電気供給を自動的に遮断する機器。分電盤に内蔵されているタイプや後付型のタイプ、コンセントタイプ、重りやバネの力でブレーカーが切れる簡易タイプなど、さまざまな種類があります。中でも「分電盤タイプ」は、時間差で電灯用の電流を遮断したり、医療機器の電源を残したりするなど、高度な機能を持っているものが多いため、他のタイプよりもやや高額ですが、便利でオススメです。
また、中には揺れを感知すると、すぐに家庭内の全ての電気を遮断するタイプの感震ブレーカーもありますが、そうした場合、地震の恐怖と暗闇の不安で安全行動が難しくなる恐れが出てきます。感震ブレーカーを設置する際は、必ず「非常時の電源の確保」をセットで考えましょう。
② 必要な電源の確保
非常用バッテリーがあれば、スマホの充電も可能です。人工呼吸器などの医療機器を使っている方は特に、電源の確保について医療機関などへ相談し、しっかりと準備をしておきましょう。
③ 通常の火災・地震への備え
地震による火災を防ぐために役立つサービス・ウェブサイト
① Yahoo!防災速報
災害が起こる前に、地震・豪雨・津波などの情報を知らせてくれるアプリ。パソコンやケータイの場合は、設定した地域の情報をメールで通知。スマホの場合は、アプリをダウンロードして設定すると、位置情報を利用した現在地と、あらかじめ設定しておいた3地域の情報を、プッシュ通知で受け取ることができます。
② 緊急速報メール
気象庁が配信する緊急地震速報や気象に関する特別警報、国・地方公共団体が配信する災害・避難情報などを、回線混雑の影響を受けずにスマホに発信するサービス。
③ Yahoo!ショッピング
Yahoo!JAPANが運営する日本最大級のオンラインショッピングモール。感震ブレーカーの種類も豊富です。万が一に備えて準備しておきましょう。
④ 消防庁「住宅防火関係」
「住宅防火情報」「住宅用火災警報器Q&A」や「住宅用消火器」の選び方・使い方など、住宅での火災予防に役立つ情報を多数掲載。火災の恐ろしさがわかる映像資料も。
監修者:防災講師・防災コンサルタント 高橋 洋(たかはし・ひろし)
1953年、新潟県長岡市生まれ。1976年、練馬区に就職し、図書館、文化財、建築、福祉、防災、都市整備等に従事。1997年より防災課係長として、地域防災計画、大規模訓練、協定等に携わる。現在は、防災講師・コンサルタントとして、自治体等で講演、ワークショップ指導などを行う傍ら、復興ボランティアの一員として、福島県南相馬市小高区等で活動。防災関係著書・論文、防災関係パンフレット類監修多数。
(掲載日:2020年4月22日)監修:高橋洋先生文:内藤マスミ編集:エクスライトイラスト:高山千草