UNITE、インサイドセールスを短期間でプロセス化するサービスを事業化

京都を拠点とするスタートアップNota は2日、シリーズ B ラウンドで5億円を調達したと発表した。このラウンドのリードインベスターは One Capital が務め、Salesforce Ventures、博報堂 DY ベンチャーズ、パーソルプロセス&テクノロジーが参加した。公表されている限りでは、Nota にとって2014年11月以来の調達となる。

Nota は IPA(情報処理推進機構)の「未踏」プログラマ洛西一周氏が2007年に創業。2014年には、Apple iPhone のフリック入力を開発したことで知られる増井俊之氏(現在、慶應義塾大学環境情報学部教授)を CTO に迎えた。これまでに、画像キャプチャを他者と共有できるサービス「Gyazo」、Wiki 的なコンテンツを作成できる CMS「Scrapbox」などを開発している。

2019年10月から展開している検索型 FAQ SaaS「Helpfeel(ヘルプフィール)」は、Nota にとっては初の B2B サービスだ。さまざまな Web サービスで用意されている FAQ を取り込み、その検索性を向上させることで問い合わせ数が従来の6割まで減ったところもあるという。ユーザが投入した質問に対するキーワードを最大50倍まで幅を広げる技術を使い、尋ね方やタイプミスなどがあっても的確な答に誘導してくれる。

UNITE、インサイドセールスを短期間でプロセス化するサービスを事業化

これを可能にしているのは、増井氏が発明した独自アルゴリズム「意図予測検索」で、入力された単語からユーザが聞きたい質問を予測提示したり、関連する記事を探索することを可能にしている。キーワードがその単語でズバリヒットしていなくても、必要としている回答にたどり着くことができるので、その結果、問い合わせ対応やコールセンターのオペレータの稼働も抑えることができる。

コールセンターに電話をしてくるユーザは、FAQ を検索せずに電話してきているわけではない。実際、ユーザの多くはコールセンターの電話番号をネットで検索して電話してきている。わからないこと、尋ねたいことの答に FAQ で辿り着けていないだけ。(洛西氏)

Helpfeel を使えば、サービス運営側のオペレーションコストが下がるだけでなく、ユーザの満足度も向上させることができる。Helpfeel から誘導させる FAQ は従来からサイトにあるものをクローリングして作成することも可能だが、ユーザがより的確な答に辿り着きやすいようにするため FAQ づくりのコンサルティングも Nota では提供している。

銀行や EC サイトなどが相性がいいのかと思いきや、現ユーザ40社中公表可能な企業名を見てみると、伊予銀行、17LIVE、ヤフー(PayPay フリマ)、AHB、ネットプロテクションズ、ディー・エヌ・エー 、ホワイトプラス、ミラティブ、みんなのマーケット、HENNGE 、リクルート、ベルフェイス、お金のデザイン、ニュートン、パーソルテンプスタッフ、シロカなど多彩な顔ぶれだ。

新型コロナウイルスの影響でコールセンター需要が高まっており、コールセンターの人材を確保が難しくなっているという現状も Helpfeel にとっては追い風だ。スタートアップ界隈では B2B SaaS が大きな一つのトレンドだが、カスタマーサクセスなどとあわせて必須となる問い合わせ機能を Helpfeel で充実させられれば、サービスのスケールに大きく寄与するだろう。

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