スマホを片手に巡る展覧会
スマートフォンは魔法のアイテムだ――いま僕たちが手にしているスマホを過去の人たちが見たら、きっとこう感じるだろう。スマホは、ポケットに入るサイズでありながら、テキストや画像、動画、音声コンテンツを見たり作ったりできる携帯端末だ。VRという次世代コンテンツを表示する力も秘めている。【画像】音楽メディアやカメラの進化の先にあるもの――展示作品「タイムモノリス」 こうしたスマホの"パフォーマンス"を引き出しているのが高速モバイル回線の普及だ。5Gの整備が進む現在は、これまでより高品質なコンテンツを楽しめる。家電製品やさまざまなセンサー類がインターネットにつながり、集めた情報を瞬時に活用できる時代になった。数十年前には、こんな世界を誰も想像していなかっただろう。 僕らは、テクノロジーの進化が人類にさまざま影響を与え、ライフスタイルとビジネスの在り方を変えていくと知った。これからの未来はどうなるだろうか。遠い未来である100年後など想像できるのだろうか。 そこで、100年後を考えるためのヒントを得られる展覧会「2121年 Futures In-Sight」(2022年5月8日まで21_21 DESIGN SIGHT(東京都港区)で開催)をのぞいてきた。この展覧会では“魔法のアイテム”であるスマホを、未来を考える指針を示す「Future Compass」(羅針盤)として使う。
10年先は想像できる。では100年先は?
僕たちは未来を想像できるのだろうか。10年後はなんとなく想像がつく。SDGsの第一ゴール「貧困をなくそう」を達成し、先進国/途上国を問わず地域格差がなくなって教育レベルが高まっているはずだ。 時代に取り残された企業の存在感が薄れ、最先端の道を切り開く開拓者たちが先頭に立ってテクノロジーの進化を推し進めて社会課題を解決していき、より良い生活を送れる日々が訪れるだろう。 トヨタがEV戦略で「2030年までに350万台のEVを販売することを目指す」と発表したように、いつの時代でもビジネスを考えるには、10年後や20年後など将来の世界を想像して模索と挑戦を続けることが大切だ。 では100年後の22世紀はどうか。情報デバイスはどうなっている? 衣食住は? そもそも22世紀に活躍している職業は何だろうか――僕を含めて、多くの人にとっては想像するのも難しいだろう。そこで、今回の2121年 Futures In-Sight展が未来を想像するヒントになる。 この展覧会は、雑誌「WIRED」の日本版編集長である松島倫明氏がディレクターを務める。松島氏が選んだデザイナーやアーティスト、エンジニア、研究者などが、それぞれの目線で100年後の2121年を考えるヒントを展示している。その中でも気になったものを紹介しよう。
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最終更新:ITmedia NEWS