NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」(旧:gooリサーチ)は、6月9日に「光コラボレーションモデル」に関する調査結果を発表した。対象は登録モニターのうち全国18歳以上の男女で、有効回答者数は2188件。調査期間は5月14日となっている。
本調査によると「光コラボレーションモデル」について「詳しく知っている」のは全体の5.8%にとどまり、「なんとなく知っている」「聞いたことがある程度」まで含めた認知率は58.6%となった。利用状況は「利用している」が1.9%、「既に申込を済ませている」が2.5%で、現時点では「検討意向なし」「様子見」が7割を占める。
利用者が選んだコラボ事業者1位は「OCN光」、2位が「ドコモ光」、3位が「SoftBank光」で、利用しようと思った理由のトップは「インターネットの月額料金が今より安くなる」が最も多く、2位以下を引き離して75.9%となった。現時点で検討していない理由は「現状に不満がないから」が最多となるものの、52.7%が「自分にとってメリットのあるコラボレーション」であれば検討すると回答している。
以下、リリースの本文です。
調査結果データ
(1) 光コラボ、「聞いたことがある」まで含めた認知率は6割弱。
「光コラボ」を「詳しく知っている」のは全体の5.8%。「なんとなく知っている」(27.4%)、「聞いたことがある程度」(25.5%)を含め、認知率は58.6%で、全体の約6割が認知している結果になった。【図1】
認知率を年代別でみると、僅差ではあるが、若年層のほうが「詳しく知っている」人が多く、年代があがるほど「なんとなく知っている」「聞いたことがある程度」の人が増える傾向がある。【図2】
すでにサービスを開始している「ドコモ光」や「SoftBank光」などがマスメディアを利用して大々的にプロモーションを行っており、その影響で「詳しく知らないが、名前だけ聞いたことがある程度」の人が多いと考えられる。認知経路ではそれを裏付けるように「テレビCM」が37.7%を占めた。現状の認知は、光コラボの仕組みを理解しているというより、「ドコモ光」や「SoftBank光」といったブランド名を認知していると置き換えて良いだろう。【図3】
【図1】光コラボ認知率<SA>(対象:全員)【図2】年代別:光コラボ認知率<SA>(対象:全員)【図3】光コラボ認知経路<MA>(対象:認知している人)<参考>光コラボレーションモデルについて
光コラボレーションモデルとは、NTT東日本・NTT西日本が提供する光ファイバーサービス「フレッツ光」を他の事業者が借り受け、オリジナルの料金やサービスを再販する形態の光ファイバーサービスのことをいいます。
光ファイバー(インターネット回線)の信頼性や速度はNTTの「フレッツ光」のまま、それぞれの事業者が自社オリジナルのサービスと組み合わせて提供することができるようになり、様々な事業者が新しい光ファイバーサービスを提供しはじめています。
【光コラボ事業者の一例】
ドコモ光、SoftBank光、OCN光、So-net光コラボレーション、U-NEXT光、excite光、ビッグローブ光、IIJmioひかり、TSUTAYA光、hi-hoひかり、ぷらら光 等続々と増えています。
(2) 光コラボ利用者と利用意向者を合わせても1割未満。7割が「検討意向なし」「様子見」の不動層。
調査実施時点(2015年5月14日)で、光コラボを利用しているのは1.9%、既に申込を済ませているのは2.5%で、この2つを足し合わせた利用率は4.4%。また、見込み利用者である「半年以内に利用を検討したい」と回答した5.8%とあわせても、利用規模は全体の1割弱だった。
現時点では、「検討するつもりはない」(43.8%)、「様子見」(30.7%)で、不動層が7割以上を占めており、今後の動向に注目したい。【図4】
【図4】光コラボ利用意向<SA>(対象:全員)光コラボの利用状況をNTT東日本/西日本それぞれのエリアで比較したところ、NTT東日本エリアの方が利用率も利用意向もわずかに高い結果が出た。
この背景には、東日本と西日本で光ファイバーの市場価格が大きく違うことが影響していると考えられる。光ファイバーの需要が鈍化しつつある東日本では概ね月額5,000〜6,000円で提供されているが、電力系通信事業者との競争が激しく、需要も伸長している西日本では月額4,000円台が主流となっている。市場を取り巻く環境の違いで、西日本地域では光コラボのコストメリットが出にくい状況になっているのではないだろうか。【図5】
【図5】NTT東日本/NTT西日本別:光コラボ利用意向<SA>(対象:全員)(3) 「OCN光」、「ドコモ光」、「SoftBank光」が人気。利用意向者の半数が「ドコモ光」を検討している。
現時点で光コラボを利用している人(申し込んだ人)が選んだ事業者は、「OCN光」がトップで、2位に「ドコモ光」、3位に「SoftBank光」が続く。【図6】
一方、半年以内に利用したいと考えている人が検討している事業者では、「ドコモ光」がトップで、2位に「OCN光」、3位が「SoftBank光」の順となった。【図7】
現時点では、各コラボ事業者が自社サービス利用者のうち「フレッツ光」を利用している人の「転用(フレッツ光利用者が簡易な手続きでコラボ事業者に乗り換えができる仕組み)」を積極的に推進していることもあり、「フレッツ光」利用者を多く抱えるISP事業者であるOCN光が効率よく利用者の獲得に成功しているのではないだろうか。
【図6】利用している/申し込んだコラボ事業者<SA>(対象:光コラボ利用者、申込者)【図7】利用を検討しているコラボ事業者<MA>(対象:半年以内利用検討者)(4) 「インターネット月額料金が安くなる」点に魅力を感じて申込んだが「それほど安くならない」と厳しい声。
光コラボを利用している人、申込を済ませた人に利用理由を尋ねたところ、「インターネットの月額料金が今より安くなるから」と回答した人が75.9%を占め、2番目以降の「スマホが割引になる」等の理由を大きく引き離す結果となった。
光ファイバーサービスである以上、インターネットの月額料金にメリットが出るかどうかが大前提ということだろう。
ただ、現在のコラボ事業者のラインナップが、携帯キャリアやISPといった通信事業者が多くを占め、通信料金のコストメリットを訴求しているため、ユーザー側も価格メリットで判断するしかない状況ともいえる。【図8】
【図8】光コラボを利用しようと思った理由<MA>(対象:利用者、申込者、半年以内利用検討者)一方、光コラボを申し込むにあたり不満に感じた点や検討していて不安に感じた点については、「手続きが面倒」(33.5%)、「結局、それほど安くならない」(32.4%)といった声があげられており、「料金メリット」に魅力に感じて利用を決めたものの、実際にはそれほどコストメリットを感じられないといった厳しい評価もあるようだ。【図9】
また、不満点、不安点として挙げられた項目の中には「回線が不安定になりそう」といった誤解も含まれている。ユーザーに対し、納得のゆく説明や誤解の生じないアナウンスにも注意を払う必要があるといえる。
【図9】光コラボの利用申込にあたり不満に感じた点、検討時に不安に感じた点<MA>(対象:利用者、申込者、半年以内利用検討者)(5) 半数は「現状に満足」しているため利用意向がない。
現時点で、光コラボを検討していない、様子を見ている理由は、第一に「現状に不満がないから」(53.7%)。次に「それほど安くならなそうだから」(23.0%)、「手続きが面倒だから」(20.9%)が続いた。現状に不満がなく、それほどコストメリットがなさそうなので、手続き障壁を乗り越えて利用しようと考える人はまだ少ない、というのが今の実態のようだ。
しかし、中には、「まだ始まったばかりでどうなるのか様子をみて考えたい」「待っていれば他にも良いサービスが出そう」といった期待の声もあることから、今後、光コラボ利用者を増やすためには、コストメリットはもちろん、新しい付加価値を提供していく必要がありそうだ。【図10】
【図10】現時点で光コラボを検討していない理由<MA>(対象:様子見、検討意向なし)(6) 半数は、今後「自分にとってメリットのあるコラボレーション」があれば検討したいと考えている。
現時点では、現状に不満がなく、光コラボへの乗り換えを検討するつもりがない人が9割を占めるが、今後の意向はどうだろうか。「自分にとってメリットのあるサービスとのコラボレーションだったら検討する」と回答した人が52.7%。「どんなコラボレーションでも検討しない」人は12.6%。【図11】
では、メリットのあるサービスとはどのようなものなのか。自由に書いてもらったところ、回答のほとんどが、「価格が安いこと」、「価格が安く品質が良いこと」に集中した。「価格」は外せない要素であるが、それ以外でユーザーのメリットとなるもの、魅力となる付加価値とは何か。ピックアップしたコメントの中には「ポイントプログラムとの提携」や「電気、ガス、水道等の公共料金」、「ガソリンや交通機関」とのコラボを望む声もあった。今後、どのような付加価値サービスとのコラボレーションモデルが登場していくのか注目していきたい。【図12】
【図11】光コラボの可能性<SA>(対象:光コラボ利用者以外)【図12】メリットのある、魅力的なコラボレーション例(任意自由回答抜粋)