カプコンから5月8日に発売される『バイオハザード ヴィレッジ』。発売にあわせた連載記事をお届けします。
“サバイバルホラー”という新たなジャンルを掲げ、1996年3月22日に発売されたPlayStation用ソフト『バイオハザード』。少し先の時代に起こりうる未曾有の生物災害を背景に、恐怖と絶望に立ち向かう人々の姿を描いた新機軸の作風で世界中に衝撃を与えました。
それから25年の間にシリーズは大きな成長を遂げ、日本を代表するゲーム作品となりました。ゲームの枠にとどまらず、ハリウッドの実写映画やフルCGによる映像作品も制作されるなど、今なお多方面で躍進を続けています。
今回はゲームのナンバリング作品に着目し、物語の時系列順にシリーズの歩みをたどっていきます。あわせて、担当ライターが感じた特徴やポイントについてもふれていきます。
なお、データやテキストは編集部調べのもの。
作中時間 1998年7月23日
『バイオハザード0』主人公:レベッカ・チェンバース、ビリー・コーエン
シリーズ第1作『バイオハザード』の前日に起きた事件を描いた作品。ラクーンシティ郊外で頻発する猟奇殺人事を調査するため、特殊部隊S.T.A.R.S.ブラヴォーチームは現地に向かった。
だが、予期せぬエンジントラブルでヘリはアークレイ山中に不時着。そこで隊員たちは横転した軍用車両と、死刑囚ビリー・コーエンの移送指示書を発見する。
その後、新人隊員のレベッカ・チェンバースは、付近に停車していた列車内でビリーと遭遇し、予期せぬ惨劇に巻き込まれることに……。2人は生還を目的に共闘し、襲い来る悪夢に立ち向かっていく。
ココに着目:悪夢の元凶となる“t-ウィルス”誕生の経緯が明らかに!
2002年3月22日にGC用ソフトとして発売され、高い評価を得ていた第1作のリメイクタイトル『biohazard』を踏まえて開発された完全新規のタイトル。
主人公は人気キャラクターの1人となっていたレベッカ。物語の時間軸は『バイオハザード』よりも過去ということや、あの事件の裏側が描かれるということで、当時、話題になったこと記憶しています。
システム部分では、のちに『バイオハザード5』、『バイオハザード6』などに引きつがれる、パートナーとの協力して探索活動を行う“パートナーザッピング”が初めて採用され、シリーズの新境地を開拓した作品となりました。
作中時間 1998年7月24日
『バイオハザード』『biohazard』主人公:クリス・レッドフィールド、ジル・バレンタイン
すべての原点であるシリーズ第1作で、“洋館事件”と呼ばれる出来事が描かれる作品。突如消息を断った特殊部隊S.T.A.R.S.ブラヴォーチームを捜索するため、その翌日、現地に派遣されたS.T.A.R.S.アルファチーム。
だが捜索活動のさなか、メンバーたちは不気味な獣に襲われ、森にたたずむ大きな洋館に逃げ込む。そこはアンブレラ社がウィルスの研究施設をカムフラージュするために建てた建造物であった。
クリス・レッドフィールドとジル・バレンタインは、同チームのバリー・バートンや、途中で合流したブラヴォーチームのレベッカと協力し、建物からの脱出を目指していく。
ココに着目:プレイ内容で生還者が変わるマルチエンディングを採用!
展開を楽しめる物語、アイテムを駆使して戦うゲーム性、これまでにないビジュアルなど、後にも引き継がれる魅力・特徴の詰まったタイトル。ゾンビやクリーチャーに苦しめられようとも、先に進みたくてプレイをやめられないのが不思議でしたね。
ようやくクリアしたと思ったら、マルチエンディングのことや短時間クリアでボーナス武器が手に入ることなどを知り、また遊びました。ややクセのある操作性に悪戦苦闘しながらも、自身では珍しいほど周回プレイをしました。
いろいろなクリーチャーが登場しますが、その中では巨大なクモが苦手でしたね。倒すとひっくり返ってさらにキモいことになって……。あと、曲がり角にいるハンターにも驚かされました。
作中時間 1998年9月28日
『バイオハザード3 ラストエスケープ』『バイオハザード RE:3』主人公:ジル・バレンタイン、カルロス・オリヴェイラ
『バイオハザード2』よりも少し前から始まり、ラクーンシティが消滅するまでが描かれる作品。
“洋館事件”のあと、すべての元凶がアンブレラ社が開発した“t-ウィルス”であることを突き止めたジルは、同社を告発しようと街で独自に捜査を進めていた。
そのさなか、ウィルスの影響で街が地獄と化し、さらには真相を探る者を抹殺するためアンブレラ社が投入した最恐のB.O.W.(生物兵器)“ネメシス”に追われることに。ジルは、市民を救出するため街で活動していたアンブレラ社の私設部隊U.B.C.Sのカルロスと合流し、街からの脱出をはかる。
ココに着目:“未知の存在に追われる”という新たな恐怖を満喫!
“追跡者”と呼ばれるB.O.W.ネメシスが本当に怖かったです。逃げることも可能なので無理に戦う必要はないんですけど、倒すと貴重な戦利品が手に入るので、新アクションの緊急回避を駆使しつつ、泣きそうになりながら挑戦しました。
オリジナル版に搭載されていた制限時間内に行動を選択する“ライブセレクション”の要素もスリリングで、ネメシス以外でも追い詰められる感覚を味わえて楽しかったです。そういえば、途中の行動でエンディングが変化し、“とある人物”がヘリで現れる演出には感動しました。
作中時間 1998年9月29日
『バイオハザード2』『バイオハザード RE:2』主人公:レオン・S・ケネディ、クレア・レッドフィールド
“洋館事件”から約2カ月後……ラクーンシティで起きている猟奇殺人事件に興味を持った新人警官のレオン・S・ケネディは、自ら志願してラクーン市警察署への配属を希望するが、赴任当日、事件に巻き込まれることに。
一方、音信不通となった兄クリスの消息をつかむため、女子大生のクレア・レッドフィールドもラクーンシティに足を踏み入れる。
まさに地獄と化した街で出会った2人は、互いに協力して困難を乗り越え、街から脱出するべく奮闘していく。
ココに着目:2人の視点でドラマを楽しめる作風が新鮮!
『バイオハザード2』は、チャンネルを切り替えるようにプレイを進める“ザッピングシステム”で2人の主人公のドラマが展開したり、ディスク2枚組の構成で、レオン編にはクレア裏編、クレア編にはレオン裏編が用意されており、1本で2度オイシイ作品でした。
また、ラクーンシティ警察の署内にある特殊部隊S.T.A.R.S.のオフィスを探索できたことがうれしかったです。机の様子から、「ここがクリスの席?」や「ここがジルの席?」と想像できたりして興奮しましたね。
クリーチャーでは監視カメラにタイラントが映し出される演出がすごく怖くて印象深いです。
作中時間 1998年12月
『バイオハザード コード:ベロニカ』主人公:クレア・レッドフィールド、スティーブ・バーンサイド、クリス・レッドフィールド
『バイオハザード2』の約2カ月後、絶海の孤島を舞台に描かれる作品。
消息不明の兄クリスの手がかりを求めて、危険をかえりみずアンブレラ社の施設に潜入したクレアだったが捕まってしまい、ロックフォート島に送られる。そこはアンブレラ社が管理し、同社にとって不利益な者を捕えておく刑務所やB.O.W.の戦闘訓練を行う施設が置かれた島だった。
クレアは島で出会ったスティーブと力を合わせ、島からの脱出を試みる。
ココに着目:クオリティがアップしたイベントシーンは見ごたえたっぷり!
カメラワークやキャラクターのアクションが強化されたことに加えて、イベントシーンのクオリティが大幅に向上していたことに衝撃を受けました。
ポリゴンのキャラクターによる映画的な演出も見ごたえたっぷりで、「その後のタイトルにおけるイベントシーンや、ハリウッドで制作された実写映画にも影響を与えたのでは?」とも思えます。
地面からゾンビが這い出てくるシーンとか、クリスとウェスカーの対決シーンもインパクトが強かったので、いまだに脳裏に焼き付いています。
脳裏に焼き付くといえば、“セキュリティカード”を入手するギミックは、ちょっとしたトラウマです。失敗すると即死だったので、ビクビクしながら挑戦した覚えがあります。
作中時間 2004年秋
『バイオハザード4』主人公:レオン・S・ケネディ
“洋館事件”から6年が過ぎた2004年秋。合衆国大統領直属のエージェントとなっていたレオンは、誘拐された大統領令嬢アシュリー・グラハムを救出する任務を受け、ヨーロッパの寒村に向かう。
そこはロス・イルミナドス教団の教祖サドラーによって体内に寄生生物“プラーガ”を植え付けられ、肉体を支配された人々が暮らす村だった。
レオンは村人や教団の信徒から妨害を受けながらもアシュリーを見つけ出し、彼女とともに生還を目指していく。
ココに着目:『バイオハザード ヴィレッジ』に受け継がれる要素も!
フルモデルチェンジを行い、以降の作品に継承される新たなスタンダードを確立した作品。
本編の周回プレイはもちろん、サイドストーリーの“ADA THE SPY”や“the another order”、さらにミニゲームの“THE MERCENARIES”まで、とにかくハマりまくったタイトルです。
プレイヤーを飽きさせないエンターテイメント性の高さと幅広い遊び方ができる懐の深さ、そしてバトルの楽しさではトップクラスのタイトルだと思います。
武器商人が登場することや、アタッシェケースでアイテムを持ち歩く要素などは、最新作『バイオハザード ヴィレッジ』に受け継がれています。
作中時間 2009年3月
『バイオハザード5』主人公:クリス・レッドフィールド、シェバ・アローマ
BSAA(対バイオテロ部隊)創設時メンバーの1人であり、その主力として活動するクリスの姿を描いたタイトル。
巨大製薬企業アンブレラ社の崩壊で生物兵器がテロリストの手に渡り、世界各地でバイオテロが起きるようになった。
そんななか、アフリカ西部のキジュジュ自治区で生物兵器の取引があるとの情報を得たクリスは、消息不明となっていたジルの捜索も兼ね、シェバをパートナーとして現地の調査を行うのだった。
ココに着目:長きにわたるクリスとウェスカーの因縁、ついに決着!
ホラー作品では物語の時間帯が夜であることが多く、それは『バイオハザード』シリーズも同様ですが、本作の舞台は炎天下のアフリカ! この点に大きな衝撃を受けたのを覚えています。
それでいて、昼間でも静まり返った街に不気味さや怖さを感じたり、室内の暗さがより際立ったりと、しっかりと“恐怖”がフィーチャーされており、その点も本作の魅力だと思います。
物語的には、クリスとウェスカーの対決がたっぷり描かれ、ウェスカーの超人的なアクションに驚愕しながらラストまで目が離せない内容でした。
作中時間 2012年12月~2013年6月
『バイオハザード6』主人公:レオン・S・ケネディ、ヘレナ・ハーパー、クリス・レッドフィールド、ピアーズ・ニヴァンス、ジェイク・ミュラー、シェリー・バーキン、エイダ・ウォン
世界規模で発生するバイオテロに対して、歴代のヒーローたちが果敢に立ち向かう姿を描いた作品。
2012年から2013年にかけて、アメリカ、中国、欧州でバイオテロが発生。レオンとヘレナは大統領暗殺の濡れ衣をはらすため、クリスとピアーズはBSAAの隊員として、ジェイクとシェリーは異形のB.O.W.に追われながら、数々の困難を乗り越えていく。
それぞれの運命は複雑に交差し、やがてヒーローたちは事件の真相を知ることに……。
ココに着目:ヒーローたちが一堂に会するドラマが見ごたえたっぷり!
ダッシュ、スライディング、遮蔽物を利用したカバーリング、回避、カウンターに加えて、敵を投げ飛ばしたり、踏みつけたり、仰向けの状態で射撃をしたり……さらに地形などに応じて多彩な体術も繰り出せるなど、アクションの充実ぶりはシリーズ随一です。
また、レオン編では、久しぶりに登場したゾンビとの死闘。クリス編では、新種のクリーチャーとの銃撃戦。ジェイク編では、“追跡者”を思わせるB.O.W.ウスタナクからの逃走劇。エイダ編では、潜入活動が楽しめるなど、エピソードごとに異なる味付けがなされていて遊びごたえたっぷりでした。
ヒーローたちのエピソードがクロスオーバーして共闘する場面はアツかったですし、そこで流れるカットシーンはフルCG映画を思わせるほどで、思わず見入ってしまうほどでした。
作中時間 2017年7月19日
『バイオハザード7 レジデント イービル』主人公:イーサン・ウィンターズ
物語は、主人公のイーサン・ウィンターズのもとに一通の電子メールが届いたことから始まる。それは数年前に消息を断った妻ミアからのものだった。
わずかな希望を胸に、イーサンはアメリカ南部のルイジアナ州に車を走らせ、荒れた邸にたどりつく。そこで待っていたのは、狂気で満ちた邸の住人ベイカー一家だった。
イーサンは住人の妨害を切り抜け、ミアと合流することに成功。新生アンブレラの軍事顧問としてオブザーバーとなっていたクリスが指揮する“ラーキング・フィア作戦”により、イーサンとミアを襲った悪夢は終わりを告げたかに見えた……。
ココに着目:実写さながらのグラフィックで没入感は最高潮に!
新たなゲームエンジン“RE ENGINE”を採用し、すべてをリニューアルして開発された作品。
“RE ENGINE”と“アイソレートビュー(主観視点)”の導入により、その没入感と臨場感はすさまじいものに。ただ立っているだけでも不安や恐怖が感じられるほどで、壁に映った自身の影でビックリしたのはいい思い出です。
戦闘では対象との距離が近く感じられ、冷や汗が止まりませんでした。
イーサンはタイトルでは珍しい一般人の主人公ですが、それだけに“イーサン=プレイヤー”ということが強調され、こちらも没入感のアップに繋がっている感じです。
追加コンテンツによる数々のぶっ飛んだ“遊び”では、本編では実現されなかった可能性をたっぷり味わうことが可能。こちらも楽しかったです。
作中時間 2017年から数年後
『バイオハザード ヴィレッジ』主人公:イーサン・ウィンターズ
ベイカー邸での惨劇から数年……。事件から生還したイーサン・ウィンターズは対バイオテロ部隊“BSAA”の庇護の下、妻のミア、そして愛娘のローズと平穏な日々を過ごしていた。
しかし、 幸せな生活はBSAA隊長クリス・レッドフィールドの襲撃によって破られる。奪われた娘を取り戻すため、イーサンは再び死地へと向かう。
ココに着目:『バイオハザード7』の続編。イーサン・ウィンターズの物語の結末とは?
前作とのつながりは? なぜクリスはローズを連れ去ったのか? ミアはどうなってしまったのか? イーサンに平穏な日常は訪れるのか? これらが大きな見どころになってくるでしょう。
さらには物語の舞台となる閑村とドミトレスク城についても注目ポイントですし、身長約290㎝という城主ドミトレスクの正体も気になるところ。
アタッシェケースで武器やアイテムを持ち歩くことや武器商人が登場することなど、『バイオハザード4』から受け継いだシステム部分にも期待が高まります。
プレイの思い出などを交え、『バイオハザード』25年の歩み、時間軸を駆け足でたどってきましたが、いかがでしたでしょうか?
次回の記事では最新作『バイオハザード ヴィレッジ』の前日譚となる『バイオハザード7 レジデント イービル』で描かれたドラマからシステムまでを詳しく紹介していきます!