遠隔接客サービス「RURA(ルーラ)」を開発・運営するタイムリープは1日、シードラウンドで約1.8億円を調達したことを明らかにした。このラウンドに参加したのは、ジャフコグループ(東証:8595)、HIRAC FUND、VOYAGE VENTURES。
タイムリープは2019年、ロボットドットインフォの創業メンバーで、同社を売却したロボットスタートで取締役兼メディア編集長を務めた望月亮輔氏により創業。ホテル・商業施設・シェアオフィス・小売業などの受付をオンライン化できる遠隔接客サービスを開発している。システムだけでなく、対応する人も合わせて提供可能で、複数拠点をまとめて少人数で対応できることが特徴だ。
例えば、ビジネスホテルのフロントなどでは省人化のために自動チェックイン機が導入されているが、結局、不慣れなユーザはホテルの人を呼ぶことになり、期待したほどの人件費圧縮には貢献しないことがある。RURA を通じて説明対応できる体制を整えれば、時間帯の繁閑にかかわらず複数拠点を少人数で見ることが可能になり、1拠点あたり時給換算で最安350円からカバーできるという。
RURA のメリットはコストだけではない。システム端末には動体検知機能が備わっているため、客から呼び出されるだけでなく、客が近づいてきたら、RURA 越しにオペレータから声をかける能動的なアプローチも可能だ。ホームセンターなどでは、個別の商品知識を持つ社員は限られることもあり、店頭に RURA を置くことで、複数店舗横断で顧客対応を可能にしている事例もあるという。
システムだけを提供するものとと、システムと遠隔スタッフをあわせて提供するものと、2つのメニューがある。システム単体での利用に関する問い合わせが多いのが現状だが、サービス開始から6ヶ月で、これまでに200社以上から問い合わせをもらっている。(望月氏)
世の中にコールセンターや BPO といった業態が生まれてから、おそらく50年程度が経過している。コールセンターの誕生は、後にテレマーケティングや通信販売をはじめとした、さらに多くの業態を生み出すことにつながったが、従来からの店頭でのやりとりを置き換えるものには繋がっていなかった。
タイムリープでは、ユーザ企業に代わって RURA での応対を代行するスタッフを擁しており、顧客のニーズに合わせて人材のアサインが可能だ。対応業態によって、ギグワーカーの活用も可能だろう。国内のみならず、カナダ、アメリカ、オーストラリアなどからタイムゾーンを超えて働いているスタッフもいるとのことで、新たな経済・雇用生態系を作り出しているのは興味深い。
この分野には、Draper Nexus と DEEPCORE が支援する UsideU といったスタートアップのほか、テレイグジスタンスに注力する全日空も、これまでに東急百貨店らと協力し遠隔でのショッピング体験を披露したことがある。タイムリープでは今後、RURA を自動精算機などとも連携できるようにすることで、店頭体験の多くを包括的に提供できる仕組みを構築したいとしている。
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