クラウドのバックエンドは発展途上、無数のデバイスと多様なプラットフォームが乱立

例として、米国では「Smart Bulb」と呼ばれる、いわゆる“スマートライト”を挙げてみよう。Philipsの「Hue」は最近低価格化が進んできたが、原稿執筆時点のAmazon.comでの価格は4個パックで49.96ドル。一方、スマートではない、ただのLED BulbはAmazon Basicだと6個パックで19.99ドルだ(いずれも60W相当)。

クラウドのバックエンドは発展途上、無数のデバイスと多様なプラットフォームが乱立

1個あたりの単価ではHueの12.49ドルに対して3.33ドルなので、スマートライトになることで9ドルほど上乗せされる格好だ。1個か2個だけならこの価格差は許容されるだろうが、特に廿楽が広い上に間接照明を多用する米国では、必然的に個数が増える。同等とは言わないまでも、せいぜい2倍程度まで価格が下がらないと、本格的な普及は難しいだろう。

これは量産効果だけでは解決は難しい。要するに、搭載する通信回路とLED制御回路の原価をあわせて3ドル未満程度まで下げないといけないからだ。この原価でフロントエンド側のクラウドサービスと通信しろというのが、土台無理な話である。

そこで、こうしたところに向け、クラウドベンダー各社では、軽量なプラットフォームを提供している。以下はいずれも、MCU(Micro Controller Unit)の上で動く軽量の「RTOS(Realtime OS)」と、クラウドコネクティビティ(厳密にはクラウドもしくはホームゲートウェイまで)および、これに対応したクラウドサービスをパッケージにしたものだ。Windows 10 IoT CoreだけはMPU(Micro Processing Unit)がターゲットとなる。MCUとMPUの違いについてはこちらを参考にしてほしい。

クラウドベンダープラットフォーム
AmazonAmazon FreeRTOS + AWS IoT
Googlembed OS + Cloud IoT Core
MicrosoftWindows 10 IoT Core + Azure IoT

ただ業界には、これ以外にも多数のソリューションがある。主要なMCUのベンダーはいずれも自社でRTOSもしくはこれに順ずるものを提供しており、ほかにもExpressLogicの「ThreadX」や、Micriumの「Micrium OS」、国内でも「μITRON」、「TOPPERS」など、製品やソリューションで言えば2けた以上の数が存在する。